今回は「表情」についてのお話です。「笑顔でにこやかに」というのが一種の接遇マナーであるのは間違いありませんが、それだけが常に正解であるとは限りません。それは就活面接の場においても同様です。
今回のコラムを参考に、適切な表情づくりをお子さんにお伝えください!
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面接では緊張して表情が硬くなりがち
突然ですが、皆さんのお子さんは表情豊かでしょうか?
「無表情で何を考えているのかよく分からない」とか、「笑った顔を見たことが無い」、あるいは逆に「常に笑っていて気味が悪い」といった傾向は無いでしょうか。
人間は、特に年上の人や初対面の人と話す際、緊張から表情が硬くなってしまうものです。
近所の方と自分の人生に大きく影響しない世間話をするのであればまだしも、就活面接のように、自分の人生を大きく左右しかねない場面においては、なおさら硬くなりやすいと言えるでしょう。
実際、面接官として学生達と接していると、緊張から表情がガチガチに固まっている学生と遭遇します。
「何か睨まれている感じでちょっと怖いな…」とこちらが思うくらい、無表情に真っ直ぐ目を見て話す人もいますし、10~20分間の面接中ずっと笑顔で喋り続ける人もいます。
はたまた、接客業のバイト経験があると履歴書に書かれているのに、「普段そんな表情で接客しているの?」と訊きたくなるような、不自然な笑顔で話し続ける人もいました。
表情と内容の不一致はマイナス評価につながる
就活面接において、緊張から表情が硬くなるのは多かれ少なかれ誰にでもあてはまります。面接官もそれが分かっていますから、「表情が硬い!失格!」と即断したりはしません。
しかし、表情が硬いせいで、表情と話す内容が一致しない状況になると、話の信憑性や説得力が失われ、マイナス評価に繋がることはあります。
例えば、志望動機を語る際に「人々のライフスタイルを変えるような、革命的な商品を企画し…」という前進力のある内容を話しているにも関わらず、視線が下向きで、表情が真っ暗だとどうでしょうか。
当然ながら、「革命的なことのできそうなタイプには見えないなぁ…」とか、「ホンネは別なのかなぁ…」というような思いが面接官の頭をよぎりますよね。
もしくは、「挫折した経験があれば、具体的に教えてください」なんて質問に答える際、ヘラヘラと笑いながら「部活で丸っきり試合に勝てなくて…」と語り始めたらどうでしょうか。
内容自体は高評価できるようなエピソードだったとしても「挫折って言うほど挫折に感じて無いのでは・・・」なんて面接官は感じるかもしれません。
「表情が硬いから即落選」とはならないものの、「表情が硬いゆえに、微妙に説得力を損ない、微妙な減点を積み重ねてしまう」というのは就活面接において、よく起きている現象なのです。
苦しい時には、苦しい顔をしてよい
入退室や挨拶など第一印象につながる場面、あるいは自分の長所や意欲をアピールする際は笑顔が効果的です。
逆に、挫折経験や自分の短所について話す際、あるいは圧迫気味の難しい質問に対して答える際は、苦しい表情を浮かべ、真剣さを伝えた方が高評価を得られる可能性が高いです。(「最終面接で難しい質問を出した時に、眉間に皺を寄せて考えている姿から、真剣さが伝わったため採用した」という話を企業重役の方から聞いたこともあります)
「笑顔を忘れずに!」という精神は大事です。しかし、それは「常に笑顔でいろ!」ということではありません。
その時々の感情や話す内容によって、自然な表情を浮かべられた方が好評価に繋がりやすいのです。
もしお子さんに表情が固まりやすい癖がある場合には、「苦しい質問が来た時は苦しい表情を浮かべても良い」くらいの気持ちで面接に臨むようにアドバイスをしてあげてください。