「あなたはこんなタイプ」と答えをくれる自己診断ツール。気軽で便利な反面、その結果を正しく解釈しないと見当違いの決断をしてしまう危険も。自己分析ツールはこう使え!
みなさんは自分が「どんな性格」で「何に興味を持っている」か考えたことありますか?職業選択においてとても大切な問題で、それにもかかわらず分かったつもりで疎かになっているのもこの自己分析です。
キャリアの世界では「興味検査」「適性検査」と呼ばれる様々な検査(アセスメント)で個人の性格や興味を調べることがあります。
ホランドという人が提唱した職業選択理論に基づき開発された「VPI職業興味検査」、「職業分類辞典」、「職業レディネステスト」などがそれで、人が興味を持つ方向と職業との関連を分析するツールとなります。
例えば歯科医になっている人たちの興味や志向性を調べると「研究や調査を好み、抽象的概念に強い関心があるタイプの人が多い」というように、ある傾向が現れます。ホランドはそれらの人が興味を持つ方向を13,000あまりの職業と関連づけ、人の性格や取り巻く環境は6つのタイプに分類でき、各タイプには適する職業があることを発見しました。
目次
あなたの興味、志向性はどのタイプですか?
人の興味や志向性のタイプと、その人たちが多く就いている職業について簡単にまとめたのが下の6タイプです。
R(Realistic):現実的タイプ
機械やモノに関心が高く、機械を使ったりモノづくりを好む。
⇒そのタイプの人が多い職業は、「運転手、建設機械オペレーター、大工、料理人など」
I(Investigative):研究的タイプ
研究や調査を好み、抽象的概念に強い関心を示す。
⇒そのタイプの人が多い職業は、「歯科医、科学研究者、システムンジニアなど」
A(Artistic):芸術的タイプ
音楽、美術、文学に強い関心を持ち、自分の感性を大切にする。
⇒そのタイプの人が多い職業は、「タレント、声優、デザイナー、演出家、通訳など」
S(Social):社会的タイプ
人を教えたり援助することに関心が高く、人と一緒に活動することを好む。
⇒そのタイプの人が多い職業は、「教師、警察官、看護師、美容師、カウンセラーなど」
E(Enterprising):企業的タイプ
新しい計画や企画を立てる事に関心があり、自らリーダーシップを取ることを好む。
⇒そのタイプの人が多い職業は、「政治家、会社社長、コンビニ店長、レポーターなど」
C(Conventional):慣習的タイプ
規則や習慣、決まったやり方に従って、堅実な活動を好む。
⇒そのタイプの人が多い職業は、「事務員、航空管制官、税理士、郵便局窓口職員など」
興味、志向性と職業の関係
ホランドはさらに、「同じ性格タイプの人が多く就いている職業を選べば、高い満足を得ることができる」と考えました。
検査は質問に答えていく形式で、最後に「あなたに向いた職業は‥」と出てくる簡単な検査もこの理論に基づいて作られています。
1つの職業の中にも6つのタイプがある?
ところが、ポイントはそこだけではないのです。皆さんもよく利用するコンビニの「店員」を例にして考えてみましょう。
分類されている店員のタイプはS:社会的タイプです。しかしコンビニの店員にはいろいろな業務があります。
- レジ打ち(R:現実的)
- 客が混む時間帯を調べる(I:研究的)
- 店頭のレイアウトやセールチラシ作成(A:芸術的)
- 顧客対応(S:社会的)
- セールやイベントの企画を考える(E:企業的)
- マニュアル通りの手順で開店、閉店作業をする(C:慣習的)
職業をさらに細かく分類すると、1つの職業の中にRIASEC全ての要素が含まれていることが分かります。どんな職業にも興味のある仕事もあれば、興味を持てない仕事もあるということです。
となると、これらのツールが全て正確にあなたの将来を言い当てることはできないことが分かります。大切なのは「解釈すること」です。検査結果はあくまで自分のことや仕事のことを考える「きっかけ」として使うのがいいでしょう。
「自分の性格は芸術的と出た。この職業は確かにクリエイティブな面もあるけど、人と協働することも多いからむしろ社会的なタイプの方が合っているのではないか、じゃあ自分にはどんな社会的な特徴があるだろうか?」のように深掘りをすることでこれらの検査は威力を発揮します。