今回は、第一志望企業への入社が叶う可能性について掘り下げてみます。実際のところ、どれくらいの確率で希望通りの企業に入社できるのかが気になる方は、ぜひご一読ください。
目次
大学受験ほど明確でない就活の第一志望
就職活動における「第一志望が叶う確率」については、各社・各団体が大学卒業生向けのアンケートにて調査を実施しています(気になる方は「就活 第一志望 率」といった感じで検索して調べてみてください)。
しかし、正直なところ数値はバラバラです。3~4割くらいという結果が多いようにも思いますが、高いところ(年度にもよります)だと7割といった結果まであり、実態が掴みづらい状況になっています。
こうなってしまう原因は「就活における第一志望は、大学受験ほど明確な第一志望ではない」ということにあります。
就職活動の企業選びは受験における大学選びと違い、偏差値のような明確な指標がありません。かわりに、「自分がやりたいことをやれるのはどの企業か」「幸せな生き方ができそうなのはどこか」といった、抽象的な判断基準で業界選び・企業選びをしなければなりません。
そのため、どうしても学生の頭の中の志望順位は不明瞭になります。「私の第一志望はA社、2位はB社、続いてC社…」と断言できるような就活生は稀で、ほとんどの就活生が「○○業界大手のA・B・C社のどこかに入れればいいなぁ…」という『第一志望群』を頭の中に持っている状態なのです。
こんな状態で「第一志望の企業に入れましたか?」と聞いたところで、「第一志望群に入れたからYES」と答える人もいますし、「第一志望群だが、1位ではないからNO」と答える人もいます。要は質問として成り立っていないのです。
就活に揺れ動く第一志望…
加えて、就職活動中に就活生たちの第一志望が移り変わっていく点も考慮せねばなりません。
もっとも分かり易いケースは、説明会やセミナーに参加して志望順位が入れ替わるということでしょうか。志望度の低かった企業が「面白そう!」と感じて一気に上位に躍り出たり、志望度の高い企業の説明会で「なんか合わない気がする」と夢が崩れることもあります。
そして、もう一つのケースとして、学生が心理的な防衛のために「落ちた企業の志望順位を下げ、内定企業の志望順位を上げる」ということが挙げられます。落ちた事実を正面から認めたくないがために、「落ちたけど、それほど行きたいわけではなかった」といった心理的合理化を行うワケです。このため「内定を貰った企業が理由アトヅケで第一志望になる」という現象もよく発生します。
このように、学生の頭の中の第一志望は不明瞭かつコロコロ変わるのですから、「第一志望に入れましたか?」なんて聞いたところで要領を得ないのです。そのため、アンケート対象者の特徴、実施タイミング、質問の文章などによって大きく数字が変わってしまうのでしょう。
「解禁時点の第一志望」に入れるのは、1割程度
では、実際の値はどれくらいなのかと言うと「高くても1割程度ではなかろうか」というのが筆者の推測です。第一志望の定義を明確にするために「就活解禁(3月1日)時点での志望順位1位の企業に入れた率」を考えると、1割を超えることはほぼ無いと思います。
各種調査にて4割とか7割といった数字を見てしまうと「意外と楽勝なんじゃないか。志望順位1~3位の企業のどこかには入れそう」なんて思うかもしれませんが、それは少々甘いです。そんな高確率で入れるような環境であれば、そもそも10社も20社もエントリーする必要はありませんし、就職活動をストレスに感じる学生がこんなに生まれることもありません。
狙った1社に入社できる可能性は1割未満と認識した上で、その数値に見合った準備(心づもりやリスクマネジメント等)が必要だということです。