今回は、会社選び・業界選びをする際に考えて欲しい視点である「新卒カードをどこに使うか」についてのお話です。
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中途にも開かれている仕事
ビジネス界で現役として働かれている親御さんであれば、なんとなくご理解いただけると思うのですが、世の中には「いつでもなれる仕事・入れる企業」と「新卒でしかなれない仕事・入れない企業」があります。
興味がある方は、転職系の情報サイトに「物は試し」くらいの気持ちで会員登録し、求人情報をザっと眺めてみてください。「こんな仕事を考えたこともなかったけど、未経験者でも募集してるんだなぁ・・・」と思われる仕事や業界が結構あると思います。
消費者に近ければ近いほど、そして、実績主義的であったり、技術/資格によって収入が固定化される傾向の強い仕事ほど、中途採用に門戸が開かれていることが多いように思います。
新卒でしかなれない仕事
逆に、世の中には「新卒でしかなれない仕事」も数多く存在します。
極端な例ですが「中央省庁の官僚」が分かりやすいです。官僚になりたければ「新卒で」国家公務員試験に合格して入省するしか(ほぼ)ありません。筆者(30代中盤)が今になって「文科省に入って教育を変えたい!」なんて志を持っても無理なのです。
傾向としては、大企業(大組織)&年功序列&減点主義な仕事・業界ほど、「新卒でないとなれない・入れない」という傾向が強いです。そういった企業は新卒で入って長い出世レースを勝ち抜いていかねば、やりたいことをできるような立場にはなれませんし、そもそも中途で入る道が(ほぼ)ありません。
典型例としては金融、とりわけ銀行が挙げられます。
銀行の正社員総合職の中途採用を転職サイトで探してみてくだされば一目瞭然だと思いますが、この人材不足のご時勢でほとんどゼロです。地銀やネット銀行の一部で、職務限定的な採用なのか総合職なのか判然としない中途採用がいくつかヒットするだけだと思います。
その他に、インフラ関連の正社員総合職も当てはまります。
「電力とかガス関連で何か大きな仕組みを作りたい!」と思っても、新卒でその企業に入っていないのであれば実現性はかなり小さいです。それこそ「経営コンサルタントになって対象企業に近づいてからビジネスを持ちかける」とか「政治家になって政策方面からプッシュする」という分の悪い勝負ルートしか既卒社会人には残されていません。
新卒カードを切れるのは、1人1回
就活で「新卒カード」を使えるのは、基本的に1人1回だけです。
これを使わないとできない仕事・入れない業界があるという超貴重なカードなのですが、そういう意識を持っていない学生がかなり多いように感じます。
もしこの記事をお読みいただいている方の中に就活生の親御様がいらっしゃったらお子様の企業選択についてご注意ください。
お子様に、どうしても曲げられない信念とか何らかの拘りがあって覚悟をした上で「中途でもなれる仕事・入れる企業」に新卒カードを使うのは構いませんが、「特にこれといってやりたいことは無いし、働き始めてから何か面白そうな世界が見えればなぁ・・・」くらいの感覚しかないのであれば、ぜひ、「新卒でしかなれない仕事・入れない企業」を探すようにお子様に勧めてみてください。
働き始めた後に「あそこに新卒カードで行くべきだったけど、転職じゃノーチャンス・・・」と後悔しても、まさに「後の祭り」なのです。